「か、可愛いって陽向……」
「あっ」
辺りが薄暗いなかでも、陽向の顔がわずかに赤らむのが分かる。
「私のこと、そんなふうに思ってくれてるの?」
「……っ。まっ、まあな」
陽向、否定しないんだ。
私は、口元がゆるみそうになる。
お世辞だとしても、嬉しいな。
「心配かけてごめんね?」
「……で? こんな時間まで、ここで星奈は何してたんだよ」
「えっと、球技大会のバスケの練習を。シュートがなかなか決まらなくて」
「そういえば、今日の体育でも苦戦してたよな」
やっぱり、陽向にも見られてたんだ。
これだけ一人で練習してても、一向にシュートが成功しないから。
陽向に、コツとか聞いてもいいかな?
「あのね、陽向。良かったら、シュートのコツを教えて欲しいんだけど」
「ダメだ」
ダメって、いくら何でも即答すぎる。
「そっ、そうだよね。そもそも私、小学生のとき陽向に絶交だって言われたのに。こんなこと言ってごめん」