こう見えてそーちゃんは、意外と鋭いから。
「ねえ、何があったの? 僕で良ければ、話聞くよ?」
そーちゃんが本気で心配してくれているのが、声や表情からも伝わるから。私は、彼に正直に話すことにした。
「実は……陽向に許嫁を解消されちゃって」
「は?」
そーちゃんが、間抜けな声を出す。
「ちょっと待って、せーちゃん。許嫁って確か、フィアンセのことだよね?」
私はコクっと頷く。
「オーマイガー! まさかキミたちが、そんな関係だったなんて」
そーちゃんが、大袈裟に驚くのも無理はない。
だって、今まで陽向と許嫁だってことは話していなかったんだもの。
「せーちゃんを泣かせるなんて。何やってるんだよ、陽向は。バカじゃないの」
珍しく怒ったような口調のそーちゃんに、目尻からまた涙がこぼれそうになる。
それをそーちゃんが、指先でそっと拭ってくれた。
「ねえ、せーちゃん。陽向に婚約を解消されたのなら……僕の彼女になってくれない?」