私はあてもなく、ただひたすら廊下を走る。
「……っ、うぅ〜」
教室を出た途端、ぼろぼろと涙があふれて止まらない。
私、今度こそ本当に失恋したんだ。
ここ最近の陽向は、甘い言葉をかけてくれたり。
他の女の子と違って、私には優しくしてくれることが多かったから。
もしかしたら私は、陽向の特別なんじゃないかって、心のどこかで舞い上がってしまってた。
「うっう……ひっく」
ちゃんと前を見ずに、泣きながらがむしゃらに走り続けていたからか、私は向こうから歩いてきた人と肩がぶつかってしまった。
「おっと!」
「ごっ、ごめんなさい」
ぶつかった相手は、そーちゃんだった。
「え。せーちゃん、泣いてるの!?」
私の涙を見て驚いたのか、彼は目を大きく見開く。
「ご、ごめん! もしかして今、僕とぶつかったから……」
「違うの。そーちゃんのせいじゃない!」
私はすぐさま否定する。
「だったら、なんで泣いて……もしかして、陽向に何か言われた?」
「……っ!」
「やっぱり、そうなんだね」