──俺は、物心ついた時からずっと、星奈のことが好きだった。


星奈は、昔からとにかく可愛くて。


ガキの頃は泣き虫で、よく転ぶ危なっかしいヤツだったけど。


素直で、優しくて。どんなことにも一生懸命で。


そんな星奈のことが、俺は誰よりも好きだった。


可愛い星奈を俺がずっとそばで守ってやりたいと、子どもながらに思っていた。


だけど、小学5年生のある日。


俺が学校に行くと、クラスメイトたちは星奈が俺のことを好きだという話でもちきりだった。


もしかして星奈と両想いなのかと、俺は胸が弾んだけれど。


『なあ。陽向、ひょっとしてお前も澄野のことが好きなのかよー?』


クラスで目立つ男子が、からかうように俺に聞いてきた。


そのうえクラスの大半の男子は、ニヤニヤしながら面白そうにこちらを見ているから。


無性に腹が立って。こんなヤツらの前で、星奈に告白なんかしたくないと思った俺は……。


『はあ? 何を言ってんだよ。俺は別に、せーなのことなんて好きじゃねえよ』


ついそんなことを、口走ってしまった。