「ほんと、ヒナくんが羨ましいよ。オレも、星奈ちゃんと幼なじみだったら良かったなあ」


ちらっとこちらを見た水上くんが、パチッとウインクする


「ねえ、星奈ちゃん」

「うん?」

「このお菓子、もう食べた?」


そう言って水上くんが自分の買い物カゴから取り出したのは、新発売のお菓子。


「あっ、それ知ってる」


確か夏限定のフレーバーで、テレビのCMで見てからずっと気になってたんだよね。


「私、まだ食べれてなくて」

「これ、めっちゃ美味しかったから。食べなきゃもったいないよ」


ファンの女の子から学校でよくお菓子をもらっているだけあって、水上くんはそういう情報にも詳しい。


「というわけで、家に帰ったらこれをヒナくんとふたりで仲良く食べなよ」


水上くんが手にしていた新発売のお菓子を、陽向が持っている買い物カゴにポイッと入れる。


「あと、このクッキーもオススメ。それじゃあ明後日、学校でね。バイバーイ」


水上くんがひらひらと手を振り、笑顔で去っていく。


「何だったんだ、虹輝のヤツ。しかも、余計なお菓子まで勝手に人のカゴに入れて」


水上くんが入れたお菓子を陽向が手にし、軽く睨む。