翌日の学校の昼休み。


私は友達の山下(やました)天音(あまね)ちゃんと一緒に、学食へと向かって歩いていた。


天音ちゃんはショートカットが似合う女の子で、目がくりっとしてて凄く可愛いの。


私たちは普段はお弁当だけど、たまに学食でお昼を食べる日もあるんだ。


私が去年から通う花城(はなしろ)学園は世間でも有名な私立の進学校で、政治家や大企業社長のご息女も通うようないわゆるお金持ち学校。


だから、学食といっても和食・洋食・中華のメニューが揃っていて、高級ホテルのレストランみたいに豪華なの。


ちなみに友達の天音ちゃんも、リゾート会社の社長を父に持つお嬢様。


そんなお金持ちの人たちのなかで、どうして私みたいな庶民がこの学園に? と、周りからは思われるかもしれない。


私が通っていた小学校は公立だったけど、小学6年生になる目前に、陽向が花城学園中等部を受験するという話を耳にした私は、陽向と離れたくないと思った。


陽向に『ただの幼なじみ』と言われてしまったけど、まだ陽向を想い続けていた私は少しでも彼のそばにいたかった。


だから、お父さんとお母さんに無理を言って、遊ぶのも我慢して、約1年間必死の思いで勉強して花城学園に入ったのだった。