その後、あの男から監視される事は無く、姿を見せなくなったから、あと数日の旅の終わりを控えそれぞれが船旅を堪能していた。

その日は日本人に向けての活動写真の上映会があると聞き、司と莉子、正利と亜子の4人でそれを観に足を運ぶ。

4人で上映会を楽しみ部屋に戻る時、亜子は1人の不審な男に目にする。

金髪に背が高い英国紳士…きっと、あの人だ。

そう思うや否や、1人人混みに紛れ走って行ってしまう。兄の正利は慌てふためき、

「亜子…アイツどこに行く気だ!すいません。僕はここで…」
正利も亜子を探しに人混みの中に消えて行く。

莉子と司は顔を見合わせ、行こう、と目で合図する司にこくんと頷き、急いで後をついて行く。