庭園での会話の後『と、とにかくお断りの連絡はそちらからお願いします』と一方的に言い逃げし、お見合いはなし崩しに解散となった。

 伯母は首尾をしつこく聞いてきたが、適当にごまかすことしかできなかった。

 言えるわけがない。お見合い相手に暴言を吐いたなんて。

 すでに伯母の所に宇賀地家からお断りの連絡が来ているのではないだろうか。

(伯母さんに役立たずといわれるんだろうなぁ、気が重い)
 
 この三日間、伯母がいつ金切り声で電話をかけてくるかビクビクしている。だが、それよりもだ。

(……時間を巻き戻して自分を止めに行きたい)

 結乃は耀に対して失礼なことをしてしまったと後悔していた。
 冷静になってみると、あそこまで頭に血が上ったのは彼の言っていることが図星だったからだ。

 祖母の為とはいえお金のためにお見合いをうけるなんて考えが甘いし、人の力を借りて何とかしようとすること自体間違っている。彼の言う通り、世間知らずだったのだ。

(それなのにロクな結婚できないって。おまえこそだよね。こんなんじゃ私が一生結婚できないよ……)