それから少しして落ち着いてきた頃、真壁さんの執事さんが私に頭を下げてきた。

「雛鶴楓音様! 美凪お嬢様を守ってくださり本当に感謝します!」

「い、いえ……結局危なくなりかけましたし、私は火に油を注いでしまったようなものなので……」

「何を言ってるの、雛鶴さんがいてくれなければどうなっていたか私は分からないのですわ……。だから、そんな謙遜しないでくださいまし。」

 何故か真壁さんもそう言って頭を下げてきて、どうしていいか分からなくなる。

 私全然大したことしてないのに……!

 そう困ってしまっていたら、おもむろに真壁さんが私の両手を取りふわりと微笑んだ。

「本当にありがとう、雛鶴さん。あの無礼な人たちに立ち向かっていた雛鶴さん、とってもかっこよかったですわ。なぎくん以上に!」

「えっ……お、お嬢様、それはどういう意味で……」

「ほら、なぎくんは弱いから私が守ってあげなきゃダメだから。……ねぇ雛鶴さん、良かったらなんだけど私とお友達になってくださらない?」

 ねっ?と可愛らしく提案され、反射的にキュンっとする。その近くで真壁さんの執事さんがショックを受けているのは、気にしないほうがいいんだろうか。