そうして裏門に向かっていると事件は起きた。


「おーい、胡桃!」


……裏の方から聞いたことのある声が聞こえた。

胡桃は無視をするようにそのまま歩こうとしている。

少し可哀想な気もするけど胡桃がそうしているもんね。


それからしばらく歩きながら胡桃と話していると、相変わらず私たちについてきているあいつ。

久石透羽。

……なんでそんなについてくるの。

いい加減腹が立ってきた。

私がだんだんとイライラしていることに気がついたのか、とうとう胡桃は久石くんに言葉を放った。


「……もうあなたとは関わらないって言ったはずだけど?ついてこないで」


……冷たく静かに。

あぁ、2人は何かしらの関係があったんだな。


「いやそれとこれは違うって!…今は裏門に行かないほうがいいって!」


慌てるような必死な口調で久石くんは私たちを止めている。

こんなに止められたら逆に気になるのが人間でしょう?

確かめないと。


「胡桃。行こう、本当に時間なくなっちゃう」


だから私は裏門から出ようとした。

……これが人生を狂わすことを知らずに。