「どうしたの?なんかあった?」
胡桃を見てみると校門の近くを見つめていた。
いつもより人が多い……?
あれが気になるのかな、どうしたんだろう。
好奇心旺盛な胡桃のことだし気になっちゃうのも仕方ないけど。
「……彩葵、裏門の方から出よう。あんなに人がいると通りにくいし遊ぶ時間もなくなっちゃう!」
胡桃はわざと声のトーンを高くして明るく言った。
でもその顔はいつもより険しく真剣な表情。
「そうだね。裏門のほうが空いてると思うし」
胡桃は隠し事が下手だ。
すごく、すごく。
なのに本人はそのことにあまり気づいてないし、ふれない。
私の知らないところでなにかあったんだろうね。
……私は今は知らないフリをしててあげることにした。