「ひこしゃん、ひこしゃん、いくつ?」
「…俺は19」
「しゅいしゅうーは?」
「…はい?俺がうまく聞き取れないんじゃないよ?ウルがうまく喋ってないだけね」
水月さんも、19歳───、
結局は伝わっていて、教えてくれるあなたは優しいが過ぎるひと。
「あつい…、きもの、脱ぎたいっ」
「…脱ぐ?そうしたら、つまりは俺と床(とこ)につくってことだけど…大丈夫?」
「だってっ、だって……」
「…だって?」
「だくカチないって言われたの、すごくかなしかった…っ」
ふわふわと意識は朦朧としていたけれど、腕のなかに閉じ込められたことは分かった。
そうされた瞬間、なにかが切れたように頬にいくつも落ちた私に、「そんなに泣く子だとは思わなかった」と言われたことも。
「きみは価値があるよ。生きてさえいれば、必ず幸福は与えられる」
それはね緋古那さん。
あなたじゃなく、水月さんが言うことなの───。