鷹じゃないかと思った気持ちと、もしかしたらという期待。

すぐに私は立て付けの悪い扉を開けた。



「………あ。」


「……ひ…、こな…さん……」


「しまった。…はは。やあ」



笠を深く被って顔を隠した、そこには緋古那さんの姿があった。

足元に置かれた笹の葉にくるまれたひとつは、見なくとも握り飯だと分かる。


ぶわりとまぶたいっぱいに込み上げて、私は泣いてしまった。



「どうっ、してっ」


「……水月から頼まれたんだ」


「っ!やっぱり…っ、水月さんがっ」



キツネさんなんだ───…。

この場所を知っていたことはまさかだったが、変わらない捧げ物を私はどう受け取れば良いのか分からなくなった。



「じつを言えばそれだけじゃなくて。待っても待ってもぜんぜん来てくれないから、俺もウルに会いたかったんだよ」