脱衣場の扉が閉められて、ひとりになる。

ゆっくりでいいと言われたが、長風呂にも誰かを待たせることにも慣れていない。


ささっと浴びようと、服を脱いで浴室の扉を開けたときだった。



「っ!!きゃあ……っ」



バッとしゃがむ。

身体をできるかぎり隠して、その場に。


湯気が立つ先、明らかに男性の入浴中だった。


この時間に人はいないと言っていた緋古那さんを恨むつもりはなくとも、こんなの聞いていない。

外に待機している本人さんに私の悲鳴は通らなかったぶん、優雅に独り占めしていた彼には聞こえてしまったらしい。



「……おまえ…、熱は平気なのか」


「っ、す、すすっ、水月さん……!?」



まさかまた会えるだなんて。

そこに嬉しさを感じていたって仕方ないのに、恥ずかしさよりも一瞬だけそちらが勝ってしまった。