「一緒に住んでいる男がいたはずだろう?」
「……どうしてそれを…」
「…水月から聞いたよ」
水月花魁殿、ではないの。
彼は同僚たちにはそこまで敬われる存在ではないのかと、呼び捨てはさすがに…。
「変わって…しまったんです」
「…変わった?」
「私が知っている家族じゃなくなったの…」
今もなにをしているか分からない。
家に帰ってこない私の心配より、次はどう相手を脅してやろうかと企んでいるのかもしれない。
お金というものは、いつだって私たちにとっての天敵だ。
「…食べるものはあるの?」
「育てている野菜が少しだけあるのと、鷹が稼いでくれたお金を食事代には……使わせてもらってます」
「……鷹、」
その子の名前です───と、小さく説明した。