「裏吉原は吉原以上に高貴な場所にございます。郎子(いらつこ)を前にするには、さぞかし不相応な方とお見受けいたします」



高貴な場所だからこそ、女に乱暴をしてはならない、という心得のようなものが一応はあるのだろう。

下男は話術でなんとか帰らそうとしてきた。


この場所がどれほど気高い場所なのか、細かく説明してくれる。


吉原は基本、一見すると幼い子供であれば引き受ける寛容さがある。

女というだけで希少価値があるからだ。


しかし裏吉原に選ばれた若集は、それ以上の希少価値の上に選りすぐられた者たちばかりだと。



「選ばれる理由は群を抜くほどの美貌、ただひとつなのです」



見ただけで、わかる。

彼らは女の魂を吸い取ってしまう妖怪なのではないかと、本気で思ってしまったのだから。


息を飲むほどに、まばたきを忘れてしまうほどに。


私は一緒に暮らして、言わば家族同然だったため麻痺してしまっていたかもしれないけれど。

もしここに鷹がいたら、気に入る女は数えきれないだろう。