今まではずっとそばにいてくれた。
こんなことしかできなくてごめんなって、付きっきりで看病してくれたというのに。
薬が欲しかったんじゃない。
ひとりになりたくないだけ、寂しいだけ。
いまの鷹はもう、お金に目がくらみすぎている。
「ひとを、殺したんじゃないの…?」
玄関を出ようとした動きが、私の言葉にピタリと止まる。
重すぎる空気に耐えられそうにないなか、これだけは伝えなければいけないと、後戻りできないまま続けた。
「ひとを脅かして盗んだお金で食べるご飯なんか……、美味しくないよ…」
あまりよくない噂が流れてるのも知ってるでしょう。
鷹が悪い輩と絡んでしまったことで、近所の人たちからもっと避けられ始めているの。
おねがい、気づいて。
やっと手にした私たちの居場所を壊しているのは、鷹自身なんだよ。
「なに言ってんだよ、おまえ」
冷めきった目。
出会った頃の鷹だ、その目は。
まるで“勘違いしてんなよ”と、私が叱られてしまったみたいだった。