「ほんっと馬鹿だよなあ、あいつ。ちょっと脅しただけで金置いていったぜ。なあ鷹!つぎはもっと怖がらせてやろーぜ」
「ああ。今度は身ぐるみも剥いでやるか」
「ぎゃははっ!それいいな!」
身体を売るか、汚い仕事に手を染めるか。
彼に与えられた選択肢がふたつだったとして、彼がそちらを選んでしまったとして。
盗賊になってしまった鷹はもう、私が知っている鷹ではなくなってしまった。
「鷹、今日はもう……どこにも行かないで」
いつものように出かけようとする背中を引き留めた、今日という日。
「スゲー稼げる仕事、見つけたんだよ。オレがいないと仲間たちに迷惑もかけるし、行かないわけにはいかねーって」
「私、ちょっとだけ具合が悪くて……」
「なら、帰りに薬買ってきてやる。今日は家で大人しくしてろよ」