ここでずっとうずくまっていた。

お恵みをくださいと言いながら、10歳の私は、あなたを待っていた。



「緋古那さんを買って、私の権力はすべて使い果たしました…!」



それに私は分家ですから…!

本家ではないから、そこまで鼻を伸ばせる立場でもないの…!!


“姫さま”なんてやめて、敬語も他人行儀で嫌です……!


───と、必死に伝え終わって、彼の吹き出した笑い声に休止符が打たれた。



「ほんとうに、夢みたいだよ」



あなたを縛るものはもう、なにもない。

結局はお金で解決してしまった私はもう、それ以上の愛をくださいなんて欲張りすぎるよね。


愛以上の優しさをもらった私は、十分だ。



「……これ、」



そして私は懐に隠し持っていた大金を彼に渡す。

小判だけじゃなく、なかには大判だって入った巾着袋だ。