「緋古那…!なにしてるのよ!!」
「俺はこの子に買われたらしい。俺の心も身体も、ウルのものだ」
ここで泣いてしまったら格好つかないと思いながらも、溢れては止まらなかった。
どんな顔をしているだろう。
私を抱き寄せながらハッキリと言い切った彼は。
すこし震えていたから、あなたもいっぱいいっぱいなんだね。
「本当にそんな子供があんたを身請けできるとでも思っているの…!?嘘に決まってるじゃない…!!」
「…いいんだよ」
「え…?」
「もう…嘘でもなんでも、いいんだよ」
きれいな涙だった。
私を引き寄せながら泣いている彼は、初めて夢を見ることができた子供のようで。
青空を初めて見ることができた、籠の鳥。
「だって…すごい、嬉しかったからさあ…っ」
消えそうな声だった。
そして、本当のあなたが見えた。
このひとを幸せにしたい。
あなたが笑っているなら、なんだっていい。