「前だって、選ばれたのはあたしだった。あなたは尻尾巻いて帰っていったじゃないの!」
「……愛してもらいます」
「は?」
「これからっ、たくさんたくさん…!私が満足するまでずっとずっと…っ、彼が嫌と言っても愛してもらいますから……!!」
どろどろと生まれる独占欲。
相変わらずな意地を張ってしまったことは分かっているし、本当はもうたくさん与えられている。
ただ、風見姫さんにだけは渡したくない。
彼女のものになったところで、寅威さんの笑顔がないことだけは知っているから。
「さっきから生意気なこと……っ、きゃあ…!」
私に掴みかかろうとしていた風見姫さんを吹き飛ばし、守りに入ってくれたのは緋古那さんだった。
私を引き寄せながら「乱暴はやめてくれ」と、冷たく言い放たれる。