「落胆するんじゃない…?俺、薪の割り方すらたぶん知らないよ…?」
「私が教えます」
「毒がある山菜とか…拾ってくるかも」
「そのときは私が毒味をします。もしそれで私が死んだら…、代わりに生きてください」
満面の笑顔を見せた私に、あっけに取られてから。
彼は指をひとつひとつ絡めてくる。
「…なにそれ」
そしてもう1度、震える声で同じ言葉を繰り返した緋古那さん。
「…きみが先に死んでしまったら、俺の幸福なんかどこにもない。だからさ……、だから俺といっしょに、この先も生き───」
「そっ、そんなの許さないわ……!!」
風見姫さまだった。
ふわりと笑った彼を消してしまったのは。
私たちの場所に断りもなくズケズケと上がってきた彼女は、忙しく肩を揺らしては鬼のような形相をして乗り込んできた。
「徳川の姫?そんな安っぽい女が?笑わせないでっ、緋古那はあたしのものなのよ……!!」
「……風見姫、」
私と彼を離れさす。
通じ合いそうだった想いに、鋏が当てられる。