「……ひこな、さん」
そして改めて私を見下ろした彼は、傷ついた表情で動きを止める。
「どうして…、そんな顔をしているんですか…?」
「…………、」
寂しそう、泣きそう、苦しそう。
置いていかれることに泣いている小さな子供みたい。
周りがみんな変わっていって、自分だけが取り残されて。
寂しい寂しいと泣いている、まるで幼い男の子。
「…こんなやり方しかできない自分が、嫌になった」
「……はい」
「最後まで格好つかない自分も、最悪だ」
「…はい」
隠された存在として、ずっと生きてきたんでしょう。
生まれひとつで苦しい思いも、寂しい思いもたくさんして。
一日中を蔵に閉じ込められたとき、どんなに怖かっただろう。
そこまで雑に扱われるわけではなくとも、本当の意味では大切にされない。
かといって、この場所からは出られない。
幼い頃からきっと、あなたは絶対的な絶望を悟って生きていたはず。