「羽留…?そこに来ているのか…?羽留……!」


「っ…!」



ドタドタと、忙しく近づいてくる足音。

ピシッと着付けられた袴を身につけ、どこか親近感さえ感じさせる顔立ちの男性がやってくる。



「慶勝様…!?」


「いけません慶勝様…!お座りになられていてくださいませ…!」



家来たちはまさか彼のほうから出向いてくるとは思っていなかったようで、困惑しながらも無礼だけはしないようにと気を張り出した。



「ずっと会いたかった娘が来ているんだぞ…!!大人しく座っているわけにいくか……!」



取り押さえようとする家来たちを追い払いながら、私を一目でも見ようと必死な様は。

たとえ第三者から見ても、「この人はそこまで娘に会いたかったんだ」と思ってしまうだろう。



「……羽留…、なのか…?」



とっさに鷹の背中に隠れてしまう。

いざ殿様を前にした威厳に、鷹は私を庇いながらも背筋を伸ばした。