だって鷹も私と同じことをしていたから。

せっかくこんなにも高貴な場所で、たくさんの着物を用意されていたというのに。


結局は鷹もいつもの格好を選んだみたいだった。



「この先に慶勝様はいらっしゃいます」


「………、」



長い長い廊下。

こんなの迷ってしまいそうだと眺めながら歩いた先に、彼は待っているという。


本当にそこに私のとと様が……?


今まで1度も会ったことのない父親。



「……ウル、」


「…姫さま……」



足を動かすことができなかった。

どうしてどうしてって、たくさんどうしてがあったから。


久兵衛さんは会えば分かると、答えをすべて本人の口から聞くために私をこの城にまで呼んでくれたのだ。


顔はどれくらい似ているんだろう。
どんな声をしているんだろう。

私のこと、覚えているの……?