「妙な男…?」


「ああ。そいつはウルのことを聞いてきたんだ」


「………なんで」


「俺もそれは分からない。…が、家来たちを何人か連れていた」



男客が来る場所は裏吉原ではない。

つまり、そいつらはウルのことを聞くためにわざわざ裏吉原にまで足を運んできたというわけだ。


もしやあの子が誰かから命を狙われている……?


俺の不安に対し、水月は首を横に振った。



「なんというか……とても心配しているようだったんだ。大切に扱ってくれ、とまで言ってきた」


「……それはね、俺も思うよ」


「……………」



おまえは雑すぎる。

いくらなんでもひどすぎる。


あの子を騙すために冷たくしてくれていいとは言ったが、あんなにも泣かせていいとは言っていない。


ウルの目の前で須磨ちゃんを抱きしめたりさ。

さすがにおまえもそれは狙っていたわけじゃないことくらいは知ってるけど、それでもだ。