「じゃあ…その鷹くんって子は無事にお姉さんに会えたんだね」
「はい。膝枕してもらって朝まで髪を撫でてくれたと、嬉しそうに夜まで話していました」
「……ははっ、聞いているほうが困惑しそうだ」
あれから鷹が帰ってきたのは次の日の朝。
目を赤く腫らしながらもスッキリした顔立ちで「行ってよかった」と、言った。
「ということは……ウルはまた鷹くんと一緒に暮らすのかい」
「…嫌ですか?」
「…ううん。安心かな」
そこは嫌と、言って欲しかった。
兄妹であり家族でもある鷹だけれど、緋古那さんから見れば私と同じ歳をした男の子でしかないはず。
嫌だと、言葉だけでも貰えたなら私は嬉しかったのに……。
「鷹とは…、1枚の布団で眠っているんです」
「……そりゃあいいや。あったかくて」
「身体を寄せあって、いつもいつも抱きしめてきて…」
「…そう。落ち着くんだろうね、きっと」
そうじゃない。
欲しい言葉はそれじゃなくて。