そうじゃないと、何度も何度も分かってくれるまで、しつこく。



「…それほど俺は酒に酔っているんだと思って、明日には無かったことにするんだよ」



そんなこと、しない。
ずっとずっと覚えている。

そう思いながらも、あなたも嘘をつくならと、私はうなずいた。



「俺もずっとしたかった───…」



私にすら聞こえるか聞こえない声で放ち、すぐに引き寄せられた身体。



「ん…っ」



これが幸福だ。
これ以上の幸福は、たぶんない。


包み込むような優しさで塞がれた唇から、お酒の香りはそこまで。


おかしいでしょう。

私から誘っておいて、私のほうが戸惑っているなんて。


固くつむっていた目を開くと、どうしてもっと早くに開かなかったんだろうと後悔する。