「どうにも孤児育ちとお聞きいたしました。お嬢さん、あなたも本当であれば……他人事ではなかったはずです」



明日は我が身。

これはじじ様に教わってきた言葉で、孤児となってからも心に置いてきた教訓だった。



「なにしてんだ……ッ!!」



そのとき、声を荒げながらこちらに走ってくる鷹。

私の瞳に涙が溜まっていることに気づくと、地面に散らばった小判を踏みつけてまで私を背中に庇った。



「人の家にまで押し掛けやがってっ、さっさと帰れ……!!」


「落ち着いてお話しましょう。これはきみにとっても悪い話ではないはずなんです」


「人の命を金と道具にしか思ってねえお前らのところになんかっ、行かないっつってんだろ!!」


「…本当にそうでしょうか」



恐ろしいほど冷静な声色に、逆に鷹も静まるしかなかった。