「…困った。直視できそうにないかも」
「そ、そんなにも似合っていませんか…?」
「逆だよ、逆。…これは予想以上だったな」
綺麗だよ。
とてもよく似合っている───、
私が贈り物をされてどうするの。
“可愛らしい”ではなく、“綺麗”。
私が欲しかった言葉だった。
「お酒をお飲みになりますか…?」
「そう、だね。そのほうが助かる」
緊張からカタカタと震えてしまう動作に私らしさを感じたのだろう。
緋古那さんは照れくさそうに小さく笑った。
「俺のこと、ずっと気にかけてくれているんだろう?」
「…………、」
「…俺があの面を被っていたことも、泣いていたことも。忘れて」
忘れる……?
随分とひどいことを言うんだね、緋古那さん。
「嫌です」
そうハッキリ言った私に、緋古那さんは中身の入っていない空っぽなお猪口をくいっと傾けては誤魔化した。