『ウル。きみのことを心から大切に思っている人間は………俺だ』



なにを意味していたのか、探る前には帰っていってしまった緋古那さん。


てっきり水月さんだとばかり思っていた私は、どうしてかあのお面を手にした緋古那さんのほうがしっくりきてもいて。

いまだに困惑と疑問が胸いっぱいだった。



どうして彼がキツネさんのお面を……?



そして、泣いていた理由。

気になって気になって、こうして足を運んでしまったというわけだ。



「ごめん。待たせてしまったかな」


「っ!」



ここでようやく座敷に上がってきた緋古那さん。

きちんと正座をした私は、背筋までもをピシッと伸ばした。


「最初の頃と同じようになってる」と、さっそく私の緊張をほぐしにかかってくる。



「ひ、緋古那さん…」


「ん?」


「……他のお客様のところに…?」


「…気になるのかい」



こくんと、すぐに返事。