緋古那side




これはウルに初めて酒を飲ませ、酔いつぶれてしまったそのあと。



「……どういう状況だ」



もし客を取っていなくて退屈していたら、話がしたいから来てくれ───そう呼びつけたのは俺。


わざわざ花魁道中をしてやって来るかと思いきや、今日は楼内を伝って目立たず襖を開けてきた水月。

俺の膝の上で眠ってしまった女の子を見て、そんな一言。



「可愛いだろ?俺のお気に入りなんだ」


「…俺の目にはまだ子供に見えるがな」


「だったらどうして、そんな子供を前は連れていったのさ」



特例切手を持っていたところで、断るのがお前だろう、水月。

おまえの目にはいつだってひとりの女しか眼中になければ見えてもいないのだから。


あんな花魁道中をしてまで誰にそこまで存在を示したいのか、俺は興味ないけれど。