あなたも最初から、そんなことするつもりもなかったくせに。



「髪だってっ、こんな髪だって……、あなたの言うことを守って…っ、あなたのために切りつづけてた……っ」



似合うって言ってくれたから。

ずっとこのくらいの短さで生活しろって、あなたが言ったから。


私のことをいつまでも嘲笑っているような顔、やめてよ。


惨めだよ。
憐れだよ。

こんな自分のこと、大嫌いだよ。



「こんなお面っ、もういらないでしょ……!!」



胸ぐらを掴むように乗り出して、背伸びをして、ガシッと引っ掴んで。

その顔から無理やりにでも引き剥がした私は。


素顔を見つけて、怯える。




「─────………どう……して……」




そういえば前回の水月さんのとき、彼は握り飯を持ってはいなかった。




「……お面は、いるよ。…いるんだよ」




どうしてここで、

どうしてそのお面の下で。


どうして泣いているの───緋古那さんが。