だったら次はもっと男らしくして行ってやろうと、再び吉原に戻って仕置きをみっちりと受け、あえてボコボコな姿でもう1度。



『…無理だよ。だっておれ、きみが女だってもう分かってるし』


『うっ、うるさいっ!!生意気なんだよおまえ!』


『わっ、ちょっと!』



そんなことを何度か繰り返し、とうとう隣を並んで歩けるくらいには仲良くなってしまっていた。


ふたりで変装しては待ち合わせて、吉原を出る。

外の世界をごく普通の子供のように歩き、笑い、走った。


弟に会いたい、家族に会いたい───考えなくさせるくらい、その子との時間はとても楽しかったのだ。



『……須磨。また切ったのか』



それから、15歳。

背も私をとうに超し、声も低くなり、彼は“水月”という源氏名を貰ったようだった。