「ウル」



他の男の話ばかりする女を膝に乗せて、他の男のために涙を流す女に優しさを与えて、他の男のことしか考えていない女を可愛がる。

それでいて、「俺の幸福は満たされる」と言って笑うのだ。


このひとは、神様なのか。



「ウル…?」



せめてもの償いのつもりじゃない。

あなたもとても優しくて自分には勿体がないほど素敵なひとだから、そうしたくなっただけ。



「やっぱり…こっちがいいです」



くるりと体勢を変えて向き合い、緋古那さんの簪を掴むように首に腕を回した。

そうして名前を呼んでくれたほうが、私だってうれしい。



「…だいぶ遊び方に慣れてしまったらしい」



ぜったいに、ちがう。

太夫に触れるなんてこと、普通はできない。


緋古那さんがそうさせてくれるように仕向けてくれているんだ、いつも。


ススス────、



「っ!」



ゆっくりと開いた襖に、別の男性へと甘えていた私の肩は大きく跳ねる。