「よし、行こう」
「あ、待って!」

 私は持ってた鞄の中のポーチからお気に入りの抹茶味のソフトキャンディーを取り出して、気を失う二人の背中の上にそっとお供えし、目を閉じて手を合わせた。

「苺花……そいつら死んでないから……」
「へ?」
「ほら、急ぐよ」
「はーい」

 蒼依くんの横にならんだ私を見て蒼依くんがぼそっと呟く。

「明志と柚生が見たら発狂するな……」
「ん?なんて言った?」
「……なんでもねぇよ。それより来る前に言ってたこと覚えてるか?今日は遠くから見るだけ。絶対俺から離れないこと。勝手なことはしないこと。いい?」
「うん!わかってる!」

 私は蒼依くんから離れないように、蒼依くんの腕にピトッとしがみついた。

「っ、」

 すると、蒼依くんがピキッと体を硬くして止まった。

「?蒼依くん?」

 どうしたんだろうと顔を覗き込もうとすると、蒼依くんは私をベリッと引きはがした。

「たしかに離れないでとは言ったけど、こんなにくっつかなくてもいいから!」
「えっ」