動揺する蒼依くんに親指をグッと突き立ててみせてから、門番の二人の前に意気揚々と向かう。門番を任されるだけあって、とてもいい体格をしている。

「こんにちは！」

　私はニッコニコ笑顔で挨拶をした。
　やっぱり仲良くなるための第一歩は、挨拶からだよね！

「あ？なんだお前」
「そのジャケット、すっごくかっこいいですね！いいないいなー」

　目を輝かせて言ってみせると、門番の二人は気をよくしたのか、口角を上げた。

「そうだろう。代々続くうちのシンボルだからな」
「後ろの絵柄はなんですか？」
「おう、これは登り龍だよ。どんだけ強くなろうと、天を目指して常に登っていくんだっつー気合いが込められてんだ」
「へ～！かっこいい～！この生地ツルツルしてますね！どんな着心地なんですか？」
「着心地も最高だぜ。着てみるか？」
「え！いいんですか！？」
「おう」

　一人がジャケットを脱いで私に寄越してくれると、もう一人の門番が止めに入る。

「おい！それはさすがに……」
「大丈夫だろ、こんな女一人でどうこうできる訳ねぇし」

　二人に視線を向けられたので、私はなるべく敵意を感じられないようにニコニコしてみせる。