「龍乱會のやつとうちの新人が街でやり合ったらしい。もう白黒はっきりつけないといけない空気になってきてる」
「そんな…!」

 翠くんとお兄ちゃんたちが本格的に喧嘩するってこと!?
 どうしよう、私どうすればいいの?

「苺花から見て、龍乱會の総長はどんなやつなの」

 蒼依くんが予想外なことを言いだして、思わず「え?」と声が漏れる。

「あ、龍乱會の弱みを握ろうとか考えてるわけじゃなくて、一応聞いておこうと思って。……苺花が好きな人のこと」

 蒼依くんはバツが悪そうに目を逸らした。
 歩み寄ろうとしてくれてる。私の気持ちを知ろうとしてくれてる。
 その暖かさに心を打たれた。
 翠くんは、どんな人か……

「……真面目で、まっすぐで、あったかい」

 凛と背筋を伸ばして、前だけを見据えてる。大きな暖かさで私を包み込んでくれる。

「誰よりも優しい、かっこいい人」

 いつだって誰かのために、誰かを守るために頑張れる、優しくて、かっこいい人。
 私は翠くん以上にかっこいい人を知らない。