「苺花。スマホを渡せ」

 冷たい声で言う明志くんに、私はスマホを胸の前でギュッと握りしめて、首を横に振った。

「渡しなさい!」

 明志くんの迫力ある声でビリビリッと辺りが揺れたけど、頑なに首を振る。
 すると、不意打ちで蒼依くんが私の手からスマホを取った。

「あ……!?」

 それを明志くんに渡す。

「や、返して……!」
「これは俺が預かる」
「どうして!?」
「いいか、苺花」

 明志くんが元々強い目力をさらに強くして私の両肩を抱える。

「金輪際、羽根村翠には近づくな」
「嫌だよ、翠くんは私の大好きな彼氏だもん!」

 改めて私が口にすると、三人は衝撃を受けたのか、ぐっと顔を強張らせた。

「みんな勘違いしてるんだよ!翠くんは、」
「やめて苺花」

 いっそ泣きそうな顔をするゆずくんが、少し強い声で私の言葉を遮った。

「苺花の口からアイツの名前、聞きたくない」
「違うのゆずくん、聞いて」
「だまされてんだよ苺花!あいつはJesusを一人で潰して、女の子をナイフで脅すような最低な奴なんだよ?見ただろ、ルリの怯えた顔!」