上から降ってきた声にドクンッと心臓が跳ねた。
 私も翠くんも咄嗟に顔をあげる。
 私の部屋の窓から、こちらを見下ろす人がいた。

「明志、くん……」

 サァ、と血の気が引いていく。

「そこで何してるんだ……それにお前、羽根村……!?」

 明志くんは大きな声を出して、窓から離れた。階段を駆け下りる音がする。
 騒ぎを聞きつけた蒼依くん、ゆずくんも窓から顔を出して私たちを見つけると、目を丸くする。

「え!?羽根村……!?」

 どうしよう、とうとうお兄ちゃんたちに知られちゃった……!
 玄関のドアが勢いよくあいて、明志くんが凄い剣幕で出てきた。

「てめぇ、羽根村!!」

 明志くんが翠くんに掴みかかって、胸倉を勢いよく掴んだ。

「明志くん!待って、やめて!」
「苺花!お前は家に戻ってろ!」
「違うの、明志くんっ」

 止めようとする私を、続いてやってきた蒼依くんが引きはがした。

「蒼依くんっ、なにするの!」
「こっち来な。苺花」
「でもっ、」
「いいから」

 私が蒼依くんと言い合ってる間も、翠くんは明志くんに掴まれてされるがままにしている。ただその目から光が失われることはなく、翠くんはまっすぐに明志くんと向き合おうとしてるのがわかる。