した?
 言われるがまま下を見ると、

「……!」
《……ごめん。昼の電話で様子がおかしかったから、心配で……つい》

 家の前のガードレールに腰掛けて居心地悪そうに笑う翠くんがいた。

「っ……」
《いや、ごめん、思い立った勢いでここまで来ちゃったんだけど、いざ家の前まで来たらお兄さんたちもいること思い出して……バカだよね。引き返そうかとも思ったんだけど、やっぱ苺花の顔だけでも見たくなって》

 下から私を見上げる翠くんが、目尻を下げてふにゃ、と笑った。

《……思ったより元気そうでよかった》

 そこで私は、窓から離れて部屋から飛び出した。

《?苺花?》

 電話口から漏れる翠くんの心配そうな声を、赤いボタンをタップして強制終了する。幸い一階には誰もいなくて、真っ先に玄関に向かってサンダルを履き、物音を立てないよう注意しながら外に出た。
 気付いた翠くんが、ガードレールから腰を上げた。
 私は翠くんの元へ走って、勢いのまま抱きつく。

「!」
「大好き」

 翠くんの胸に顔をうずめて、涙声で言う。

「翠くん、大好き……っ」
「……僕も」

 翠くんがぎゅう、と抱きしめ返してくれた。

「大好きだよ、苺花」