カーテン?
 不思議に思いながらも立ち上がって、窓際のカーテンをゆっくりスライドした。マンションや雑居ビルのネオンが輝く街を覆うようにして広がる、星空。
 今日はいつもよりクリアに見える気がする。

《星きれいだよね》
「うん」
《星空って、心を落ち着かせる効果があるんだって。だから悩んで煮詰まった時とか、頭に血がのぼりそうなときとか……星を見るといいんだって》
「そうなんだぁ」

 たしかに今、心が少し落ち着いた気がする。
 同時に、翠くんも今この星空を見てるんだって思ったら胸が苦しくなった。
 すると、思っていたことが口からスルッと出た。

「会いたいな……」
《……》

 翠くんが黙ってしまった。
 あ、やっちゃった。こんなこと言っても困らせるだけなのに……!

「あっ、ご、ごめん、なんでもないっ。昨日会ったばっかりなのにね。あはは」

 慌てて取り繕う私は、なんだか情けなくて、会えない寂しさも手伝って泣きたくなってくる。

《……苺花。した見て》