『……苺花』

 あ……翠くん……?

『今からすることは、お兄さんたちにはぜったいナイショだよ』

 ぜったい、ナイショ?

『目、閉じて……』

「ふ……ふふ……」
 

 耐えきれなくて笑い出した私の脳に、ピピピ、といつものアラームが入り込む。
 翠くんが、遠のいていく。
 ピピピ、ピピピ。
 あぁ、待って。 行かないで、翠くん。
 もう少し。もう少しだけ……
 ピピピ、ピピピ。
 ……分かってる。これが昨日幸せすぎた影響で見ている夢で、もう学校に行くために起きなきゃいけない時間だってことは。
 ピピピ、ピピピ。
 まだ夢の中にいたい自分と、起きて早く準備しないとって思う自分が葛藤する。
 ピピピ、ピッ……。