付き添いで来た私は逃げるように部屋の隅っこへ行くけど、「苺花さん!この椅子使ってください!」「寒くないっすか!?おい、誰か毛布!」と、強面なメンバーたちがたくさん気遣ってくれる。

「あっ、大丈夫だよっ!お気遣いなく!」

 笑って遠慮するけど、私の周りはみるみる貢物(みつぎもの)でいっぱいになる。
 それもこれもこの学校に入学してすぐ、明志くんが『苺花は俺たちの姫だから』と宣言してしまったことがきっかけ。
 そもそもERRORsは、ただの不良の集まりじゃない。
 元々治安の悪かったこの地域で、当時まだ十人ほどだった先代率いるERRORsがこの学校を守り、治安の良い街に変えてしまった。
 この学校に知らないものはいない、この学校を象徴する大きな存在。
 そんなERRORs幹部の姫となれば、みんな普通じゃいられなくて、文字通りお姫様扱いせずにはいられないみたいで。
 本来の私はお姫様なんてガラじゃない、平々凡々な普通の女の子なのに……。