翠くんと会えなくなって一週間が経った。
図書館に行っても、当然いつもの席に翠くんの姿はなく。
ほぼ毎日会ってたからやっぱり寂しくて、心にぽっかり穴があいたみたいな日々を過ごしていた。
「羽根村翠って女遊び凄そー」
そんなとんでもないセリフが聞こえてきたのはとある朝の、家を出る五分前。
早々に制服に着替えて支度を終えたゆずくんが、ソファに寝転んでスマホをいじりながら言った。
ゆずくんからローテーブルを挟み、向かいのカーペットの上にぺたんと座る私は、ローテーブルに鏡を置いて蒼依くんに髪を可愛くしてもらっていたところで。
唐突に聞こえてきた彼氏あての悪口に、つい眉間に力を入れてゆずくんを見てしまう。
蒼依くんが「なに、急に」と興味なさそうに聞いた。
「ほら、これ見て」