それは、苺花と図書館で会えなくなって三日ほど過ぎた後のことだった。

「翠さん。もしかして、彼女できましたか」

 総長室で今後のことを相談していたとき、橙が唐突に聞いてきた。

「……ん?」
「すいません。さっきたまたま、翠さんのスマホの通知を見てしまいました」
「あー……」

 さっき苺花から来たメッセージは、学校でこんなことがあったよって教えてくれるいつものやつ。
 
「〝いちか〟って、女子っすよね」
「……そうだね」
「翠さんが女子と連絡取り合うって、初めてっすよね」
「そう、だね」

 心なしか橙の顔がどんどん近づいてきてる気がする。