「ここで喚いてもなんの意味もない。とにかく今回の件はうちに非があるので、妹さんは返します」
「なっ、総長……!」
さっき私の手首を縛った新入りが、声を上げた。
「俺たちは龍乱會のためを思ってやったんすよ!何もせず帰すなんて……!」
「やっていいことと悪いことがあるんだよ。その区別もつかないやつが龍乱會を名乗らないで」
「っ……、すいません」
翠くんの冷気を帯びた声に、新入りは口を噤むしかない。それを確認すると翠くんは振り向いて私に目くばせした。
そろりと扉を開けて顔を出すと、その場の全員からの注目を浴びた。
わわっ、なんて迫力……!
「苺花……!」
私の姿を見つけた明志くんが、それまでガチガチに力ませていた表情を泣きそうに緩ませた。
その明志くんを差し置いて、ゆずくんが一番に走り寄ってきて私を力強く抱きしめる。