「とにかく今日はもう送るよ。このままここにいたらお兄さんたちが来てややこしくなる」
「う、うん、そうだね……!」

 私は翠くんの言葉に力強く頷いて、扉に向かう。

「あ、待って」

 振り返るより早く、翠くんに後ろから抱きしめられた。

「せっかくだから、もう少し」
「……!」
「苺花のこと摂取したい」

 さっき下でメンバーを黙らせていた人と思えない、甘えた声で私をぎゅう、と抱きしめる。
 その可愛いギャップに思わず頬が緩んだ。

「フフ、摂取って栄養みたい」
「そうだよ。苺花は僕の大事な栄養源。定期的に摂取しないと死んじゃう」

 そう言って翠くんが私の顔を覗き込んで、頬に手を添えて自分の方に向けさせた。
 予感がして、ドキンと胸が高鳴る。
 そして翠くんは顔を傾けて、目を伏せた。



「総長!取り込み中失礼します!」

 唇が触れる前に、ドアの向こうから(だい)さんの声がした。

「ERRORsが妹を返せと乗り込んできました!!」
「「!!」」