そして、私の手を引きみんなと反対方向に走り出した。

「……あ!?おい!どこ行くんだそこ!」

 背中に明志くんの声が聞こえて、翠くんが振り返る。

「お義兄さん!三十分二人きりになってきます!」
「「「は!?」」」

 三人のお兄ちゃんたちが揃って目を丸くしている。
 やっぱり三つ子、そっくりだなぁ、なんて思ったのも束の間、翠くんは左腕で私を軽々と抱え上げた。

「キャッ!?」
「お姫様抱っこじゃなくてごめんね」

 そう王子さまみたいに微笑んだ翠くんに、そのまま連れ去られる。

「これからすること、お義兄さんたちにはナイショだよ。苺花」

 そして私と翠くんは、お兄ちゃんたちには絶対、絶対言えない、ナイショの時間を過ごしたのでした。
 

 おしまい。