きっと真面目な翠くんのこと、しっかり明志くんの言いつけを守るんだろうな……。
　ちゃんと認めてもらえてよかったけど、翠くんと恋人らしいことができる日が遠くなっちゃった気がする。

「さぁ、今日はもう疲れただろ。帰るぞ」
「おーいお前らー。解散だー」

　明志くんたちの呼びかけで、ERRORsがぞろぞろと歩き出す。
　外は雨があがり、夕焼け色に染まっている。

「今度龍乱會とERRORsで決起会しようや」
「いいっすねー！」

　すっかり意気投合しているみんなは、ボロボロな姿でワイワイと賑やかに帰っていく。
　お兄ちゃんたちのうしろを歩きながら振り返ると、橙さんの隣を歩く翠くんの姿を見つけた。
　夕日を浴びて穏やかにみんなの様子を見守る翠くんは、痛々しい顔の傷すらかっこよくて、胸がギュッとなった。
　私はお兄ちゃんたちの目を盗んで、翠くんの元へ行く。

「翠くんっ」
「ん？なんか忘れ物？」
「えっと、あのね……」